ボランタリーチェーン(VC)との違い

目次

住宅業界に参入する際には、住宅フランチャイズ以外にもボランタリーチェーンという選択肢があります。ここでは、ボランタリーチェーンがどんなものかについて学んでいきましょう。

ボランタリーチェーンの定義

ボランタリーチェーンは、複数の独立資本の事業者が主体的に集まって協力したり情報共有をしながら営業活動を行っていく組織形態です。そのため、加盟店同士でエリアがバッティングすることもなく、地域毎のニーズに対してよりきめ細かく対応することができます。

また、販売を担う各加盟店からの情報を本部が集約し、それらを元に販売戦略や仕入れを管理する「チェーンオペレーション」という仕組みを構築・活用しているのも、ボランタリーチェーンの特徴といえます。

「ボランタリー」とは、ボランティアと同じように「自発的に」という意味です。したがって、複数の独立した店舗が自発的に組織を作り、チェーン店として事業展開をしています。フランチャイズチェーンとは異なる特徴があるので、事業者の方向性によってはボランタリーチェーンの方が適している場合もあります。

ボランタリーチェーンの理念

「自発的連鎖店」または「任意連鎖店」ともいわれるボランタリーチェーンには、参画するうえで知っておくべき3つの理念が定められています。

  • よりきめ細かいニーズに対応した商品・サービスを提供することで、地域生活者および地域社会に貢献すること。
  • VCは独立事業者が意欲的に結合した集団であり、互いに連携しあうことで中堅・中小企業の経営の発展に貢献すること。
  • 独立事業者が各加盟店となってチェーン組織を形成し、本部の支援によってそれぞれの加盟店の繁栄に貢献すること。

なお、上記は一般社団法人・日本ボランタリーチェーン協会が定める理念であり、VCを形成する各組織毎に共有すべき理念は基本的にはなく、裁量はあくまで各加盟店が持つことになります。

ボランタリーチェーンの仕組み

ボランタリーチェーンにおけるチェーン本部と加盟店との関係性は、本部からのノウハウや商品提供は行われますが、一方でFCのような本部強制力は伴わず、むしろ加盟店からの情報や意見を集約し、加盟店が成長・発展していくための管理・戦略立案などを行うという、お互いに協力しあう仕組みになっています。

なお、VC本部が担う役割としては、「仕入れの集中管理」「情報の集約と加盟店へのフィードバック」「加盟店の業績把握と指導」という3点が挙げられます。

仕入れの集中管理

VC加盟店は裁量の幅が広く、仕入れについてもより地域のニーズにあった商品に力を入れることができます。

チェーン本部は各加盟店からの発注を一括管理し、さらに本部でのマーチャンダイジングや各種プロモーションに応じてメーカーや卸売業者から的確な仕入れを実施。

さらに大量発注によってコスト削減が可能となることで、各加盟店は個別に発注するよりも安価で商品を仕入れることができます。

情報の集約と加盟店へのフィードバック

VCのチェーン本部は、消費者の動向といった販売現場から得られる情報や、店舗経営に関する現状報告、さらに成功事例なども加盟店から集約し、それらを分析。

さらに分析した内容を各加盟店が活かせる形にした上でフィードバックするという、協力関係だからこそ実現できるサイクルができあがっています。

加盟店の業績把握および指導

VCのチェーン本部は各加盟店の売り上げの責任を負うことはありませんが、加盟店の業績を把握し、指導する役割も担っています。

加盟店からの業績報告を受け、ヒト・モノ・カネといった経営資源や、競争環境の現状および変化といった様々な要素を踏まえた上で、今後成長していくための戦略的な方向づけを明確にし、各加盟店に向けて指導を実施していきます。

ただし、戦略の決定・実施については各加盟店に判断を委ねることになります。

ボランタリーチェーンのメリット

経営方針を比較的自由に決めることが可能

フランチャイズチェーンとボランタリーチェーンの大きな違いが、経営方針の自由度です。フランチャイズチェーンは本部の経営方針から逸脱した業務方針を取るのが難しいという弱点があります。対して、ボランタリーチェーンは本部による規則やノルマがゆるいので、店舗独自の経営方針を取りやすいのです。

仕入れコストを抑えられる

ボランタリーチェーンでは、住宅販売に必要な商品や資材、設備投資などは本部が一括して行います。そのため、フランチャイズチェーンに比べて仕入れコストを大幅に抑えることができるのです。個別発注に比べて仕入れコストが低いので、参入のハードルも低くなるでしょう。

情報共有がしやすい

フランチャイズチェーンでは、本部と各加盟店のつながりはありますが、加盟店同士のつながりがないため情報共有がしにくいという弱点があります。対して、ボランタリーチェーンなら加盟店同士がPOSなどのシステムを通じて情報共有できるので、同じ地域の加盟店同士で協力するなどの方法が取れます。

ボランタリーチェーンのデメリット

加盟店自体の営業力や実績が必要

フランチャイズチェーンでは、本部のノウハウやパッケージを利用できるので、知名度が低く営業力が十分でなかったり、住宅販売のノウハウが少ない事業者でも安心です。反面、ボランタリーチェーンは事業者自身が営業や販売のノウハウを蓄積していかなくてはいけないので、それができないと最悪の場合経営破綻してしまうことになります。

ブランドの知名度に頼れない

顧客に商品をアピールするためには、ブランドの持つ集客力が重要です。しかし、ボランタリーチェーンではフランチャイズチェーンのように本部のブランド力に頼れないので、それぞれの加盟店が自力で営業し、ブランドの知名度を上げていかなくてはいけません。

ボランタリーチェーンの発展

ボランタリーチェーンの仕組みや機能はVCを形成する各組織によって異なっており、発展形態が多様な点も特徴といえます。

FCにおける本部からの指示とは異なり、VCの本部は加盟店毎に異なる経営資源や競争環境の変化、中間流通の仕組みや流通技術の進化によって戦略を立てる必要があり、それはその後のボランタリーチェーンとしての発展形態にも影響を及ぼします。

さらに、ボランタリーチェーンの発展に伴い、チェーン本部の機能もまた、より適した形態をとっていくことになります。

チェーン本部の機能については、商品の開発や仕入れ・輸送などを担う「商品供給機能」と、販売促進や人材教育、さらにPOSシステム導入といったIT部門を支援する「リテールサポート機能」に大別することができます。

これら二つの機能すべてを提供するチェーン本部を「総合機能型」とする一方、「商品開発中心」「仕入れ中心」「物流を内製対応または外部委託」「IT支援の有無」などというように、得意とする機能のみを提供する「限定機能型」のチェーン本部といった形態もあり、ボランタリーチェーンの発展に伴ってそのあり方も分化していくことになるでしょう。

フランチャイズとボランタリーチェーンの違い

フランチャイズとボランタリーチェーンの違いを改めてまとめてみましょう。

組織形態(店舗の運営方法)

フランチャイズの組織形態は、ピラミッド型となっており、本部との間に上下関係が存在します。店舗の運営方法は、本部のマニュアルと指導に基づいて行われるため、本部の承諾なしに工夫を取り込むことはできず、独自性が出にくいというのが特徴です。

一方で、ボランタリーチェーンの場合、加盟店同士が出資をすることで本部を形成していくため、本部と加盟店は同等の関係を築くことが可能。店舗の判断で仕入れなどの調整ができるため、店舗の運営方法は、個性を打ち出した戦略を立てることを可能としながら、本部が開発したオリジナル部品や工法などを独占的に住宅に活用することもできます。

加盟金

フランチャイズに新しく加盟する独占事業者は、フランチャイズ本部に金銭の支払いをしなければなりません。その支払い内容は様々ですが、まずは加盟時に「加盟金」を支払わなければなりません。

加盟金は、知的財産や広告宣伝など、加盟店が契約期間に便宜を受けるものの対価として支払われるもので、本部のブランドを使うための“使用料”にあたります。加盟金は、大手フランチャイズとなると数百万を超える額となります。なお、この加盟金は、契約を解除したとしても返金はされません。

一方で、ボランタリーチェーンは、加盟金が発生するとは限らず、年会費は発生するが初期投資である加盟金は発生しないというところも存在します。

ロイヤリティ

ピラミッド型の経営組織を成すフランチャイズでは、加盟店は本部に対し、必ずロイヤリティを支払う必要があります。ロイヤリティの額は、毎月定められた割合を支払う固定制か、売上販売実績に応じる金額を支払う変動制など組織によって異なります。

加盟店は、ロイヤリティを支払う対価として経営指導やノウハウのほか、商標の使用権を得ることができるので、ロイヤリティはランニングコスト的な扱いと捉えていいでしょう。

また、フランチャイズの場合、想定していた利益を下回ってしまった場合でも本部に対してロイヤリティを支払わなければなりません。そのため、契約する際は、継続的にロイヤリティを支払っていけるかどうか、予算と利益を考慮しながら判断しましょう。

ボランタリーチェーンの場合は、ロイヤリティが設定されていない場合が多く、ロイヤリティが設定されている場合であってもフランチャイズよりは低額であることが一般的となっています。

RC(レギュラー・直営店舗)との違い

レギュラーチェーン(RC)とは、直営店と呼ばれ、運営企業が自ら店舗運営を行う店舗のことを指します。直営であることから、人材や、資材の仕入れなど全て自社で賄い、売上や経費も自社で管理していきます。

フランチャイズや、ボランタリーチェーンとの違いは、外部の組織が一切干渉しないところにあります。また、本部直属であることから加盟金やロイヤリティなどはもちろん発生しません。

マネジメントの面からみても、レギュラーチェーンは、自社雇用の人材に店舗を任せるため、チェーン全体の統制がきくのが特徴です。経営戦略の定着や方向転換の周知などの対応がスピーディーというところがメリットであると捉えられています。

こちらもチェック
成長ステージ別
販売実績の豊富な
住宅フランチャイズ4選
地域密着で展開する
小~中規模の工務店向け
  • 商品力やサービス力を生かして集客したい
  • きめ細かなサポートを受けたい
  • 人手不足、経営の改善強化、地域での生き残り事業を拡大したい
母数の多いエリア
(大都市圏など)で展開する住宅会社向け
  • 知名度やブランド力を生かして集客したい
  • 商品開発や新規事業への進出を図っている
  • 競争力・差別化に自信がある
おすすめ 住宅フランチャイズ4選
PR オーナーインタビュー