FCの義務違反・契約違反
FC契約解除の原因となる理由に「義務違反」と「契約違反」があります。簡単にいえば、義務違反とは行うべきことを怠ること。契約違反とは契約書の内容や意図に反する行為を行うことです。FCにおける義務違反や契約違反は加盟店・本部ともに起こす可能性があります。
FCにおける義務違反・契約違反とは
義務違反
義務違反とは、契約上行う必要があるべきことを怠ること。または、禁止されている行為を行うことが該当します。
- フランチャイズ本部が侵す義務違反
情報提供義務違反、指導援助義務違反など - 加盟店が侵す義務違反
知的財産権違反、秘密保持義務違反、競業禁止義務違反など
情報提供義務違反
主に本部側が加盟店に対して侵す違反です。
たとえば加盟店が開業するとき、立地条件や商圏の特性によって売り上げを予測して物件を決定しています。しかし実際に開業してみたら思うように売り上げが得られないことも。その理由に「本部が提供した情報に不足があった・予測の根拠が不明確だった」などが含まれる場合、加盟店に対して情報提供義務違反があったことになります。
指導援助義務違反
フランチャイズ契約を締結したら、本部は加盟店に経営のノウハウやアドバイスを提供しなければなりません。たとえば契約したのに本部から指導や援助が一切なされない場合、本部が加盟店に対して指導義務違反を侵したことになります。
知的財産権違反
加盟店が本部に対して侵す違反です。ブランドや商標権の所有権はフランチャイズ本部が有しています。そのため、加盟店がブランドの価値を下げるような行為をした場合は知的財産権違反となります。
秘密保持義務違反
加盟店は本部から経営ノウハウやアドバイスを受けると同時に、守秘義務も負っています。たとえば本部から提供されたノウハウなどの情報を第三者に漏らした場合、秘密保持義務違反とみなされます。
競業避止義務違反
競業避止義務違反は主に契約解除後に侵す可能性のある違反です。加盟店が契約解除後の一定期間に本部と同一業種で営業しないよう、競業を禁止しています。もし仮に加盟者が契約解除後に本部と同一業種で営業を行った場合、競業避止義務違反とみなされます。この場合、契約解除後でも違約金が発生するため注意しましょう。
契約違反
契約違反とは、契約書で定めた内容やその意図に反する行為のこと。フランチャイズ契約における契約違反にはさまざまなものがありますが、なかでも「テリトリー契約違反」が知られています。
テリトリー契約違反とは、テリトリー制であるにも関わらず本部が加盟店の近くに同一のフランチャイズ店舗を開店させてしまうこと。近隣に同業の店舗がオープンしてしまえば加盟店の利益は減ってしまいます。
なお、契約書で定められた内容に反していれば契約違反となりますので、義務違反にあたる内容が契約条項にあれば、義務違反であり契約違反であるといえます。
実際の事例
本部の情報提供義務違反により閉店の損害賠償責任が認められた事例
(前略)フランチャイズシステムにおいて,店舗経営の知識や経験に乏しく,資金力も十分でない個人が,本部による指導や援助を期待してフランチャイズ契約を締結することが予定されていることに鑑みると,フランチャイザーは,フランチャイジーの募集に当たって,契約締結に当たっての客観的な判断材料になる正確な情報を提供する信義則上の義務を負っていると解すべきである。
(中略)被告は,原告に本件契約への加入を勧誘するに当たり,客観性,正確性に問題のある市場調査の結果の信頼性を過度に強調し,フランチャイズ契約への加入の可否についての適切な判断を困難にするおそれの強い情報を提供したものと認められるから,被告は,フランチャイズ契約の加盟店の募集に際し,適正な情報を提供すべき前記信義則上の保護義務を怠ったものというべきである。そして,一に認定した事実によれば,被告の右保護義務違反と原告による本件店舗の経営が破綻したこととの間には,相当因果関係があると認められるから,被告には,本件店舗の経営が破綻したことによって原告に生じた損害を賠償する責任があると解すべきである。
本部の売上予測の誤りが情報提供義務違反と認められた事例
(前略)売上予測や収益予測については、主としてフランチャイザーから提供される情報に依拠することになるから、フランチャイザーがフランチャイジー候補者に対し、フランチャイズ契約の締結に向けた交渉過程において店舗の売上予測を提供した場合、その内容は、フランチャイジー候補者が契約を締結するか否かを決断するに当たって重要な影響力を持つと考えられる。
(中略)したがって、このような両者の関係にかんがみると、フランチャイザーが、フランチャイズ契約に向けた準備段階において、フランチャイジー候補者に対し、売上予測等を提供する場合には、信義則上、十分な調査をし、的確な分析を行って、できる限り正確な売上予測等を提供する義務がある。
(中略)本件店舗の実際の売上高が被告の売上予測に遠く及ばない結果に終わったことについては、被告が本件店舗のシェア率を過大に設定していたことが、その一因であったと推認される。そうすると、被告は、過大なシェア率を設定して本件店舗の売上予測を誤り、原告に対しても、この誤った売上予測、さらには営業予測を提供していたものであるから、情報提供義務違反の責任を免れない。(後略)
契約違反でのトラブルを防ぐために
フランチャイズ契約における義務違反や契約違反は、本部・加盟店ともに侵してしまう可能性があるものです。
加盟者は契約違反を起こさないよう契約内容に注意し誠実な経営を行いましょう。加盟店が契約違反を起こした場合には、本部から契約を解除されたり違約金を請求される恐れがあります。
また、本部の契約違反にも注意が必要です。本部に契約違反をされてしまう対策として、契約時に契約内容が曖昧ではないか・記載漏れしている内容はないかなどをしっかりとチェックしておきましょう。不明点は本部としっかり相談し、必要に応じて弁護士へアドバイスを求めるのも良いでしょう。
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